キタキューヘリテージ  Kitakyu Heritage

その運命は?【九州鉄道大蔵線両国橋橋梁】

time 2013/10/13

2013年10月12日夕刻。
北九州市八幡東区大蔵。
ふと車で通り過ぎようとした長らく工事中だった橋のたもとに、大きな煉瓦の塊が見えた。
その瞬間すぐにそれが何か解り、高鳴る期待を押さえつつ引き返した。

【九州鉄道大蔵線両国橋橋台(きゅうしゅうてつどうおおくらせんりょうごくばしきょうだい)】だ。

九州鉄道大蔵線は、1891年(明治24年)開業、1911年(明治44年)に廃止された歴史の短い路線だ。

海側に線路を敷設した場合に、海上の敵艦からの射撃で寸断される事を当時の陸軍が危惧した為、内陸側に設置されたが、のちに平行する九州電気軌道(後の西鉄)の開業や、現在の鹿児島本線が敷設された為に廃止となった。

100年以上前の路線なので、現存する遺構は多くは無いが、遺る物はどれもりっぱな遺構だ。


煉瓦アーチが見事な【茶屋町橋梁(ちゃやまちきょうりょう)】


現在は大蔵公園として整備されている【大蔵駅(おおくらえき)】跡。


大蔵公園整備の際に見つかった【九銕用地杭】も保存されている。


煉瓦アーチの上に家が建ち道路が走る【尾倉橋梁(おぐらきょうりょう)】


今回発掘されたのは、大蔵駅跡から東側(小倉側)の大蔵川[正式名称は板櫃”いたびつ”川]に架かる両国橋に遺る橋梁跡に関する物だ。

江戸の古くには豊前国と筑前国の国境であったことに因み、鉄道が開通し橋が架けられその名を「両国橋」としたと言う。

2012年5月撮影

長らく道路の拡幅工事を行っているが、かつてより煉瓦橋台と橋脚は見る事が出来ていた。
今回の工事で「もしかしたら取り壊されるかも」と言う不安はあったが、どうやら一部が残されるらしく、その動向に注目していたのだ。
(Takaはその事が気になりすぎて変な悪夢もみたくらい(笑))
掘り起こされたのは西側(黒崎側)の橋台と思われる煉瓦のかたまり。


重機の傍らに置かれたそれは二つ、コーンと比べて解るように結構大きい。


【茶屋町橋梁】や【尾倉橋梁】と同じく、イギリス積みであることが解る。


重機の隙間から煉瓦の端に切り石が見えた。


東側(小倉側)に遺る橋台の端に見られる物と同じで、花崗岩の切り石だと思われる。

補強のためだろうか?
その橋台の形状から、【茶屋町橋梁】【尾倉橋梁】の煉瓦アーチとは異なり、ガーダー橋であったと思われるが、当時の写真はさすがに残ってはいないだろう。
(せめて図面でも見てみたいけどね)


しばらく仮設橋が渡されていたが、撤去され東側(小倉側)の橋台跡も全容が見えた。

渡ってすぐに大蔵駅がある為か、複線構造になっているのが確認出来る(他の橋梁は単線)
しかし写真右手がごっそりとえぐられてしまっているのは残念だ。

その対岸にもあるはずの橋台だが、私の記憶では煉瓦橋台は遺っておらず、きれいにコンクリートブロックにて護岸工事がされていたと思うのだ。

と、考えると、今回の工事中護岸を剥がし掘り起こしていた際に見つかった、と言うのが自然だろう。


大きく土が掘り返されている中に、煉瓦の塊が転がっているのが見える。
マンホールより川側だとは思うのだが・・・。

通りがかったのが土曜の18時頃だった為、作業者はおらず話を伺う事はできなかった。
しかしわざわざ持ち上げて地上に上げているのだから、何かしらのアクションが起こる事は期待したい。

家族をコンビニの駐車場の車内に残し、長い時間そこに居てしまった。
もしかしたら次に見る時には無くなってしまうかもしれないと言う不安もあり、100年前のその煉瓦遺構を名残惜しく感じたのだ。

工事の邪魔者か、はたまた貴重な歴史遺産か。
それを判断するのは人それぞれだが、久方ぶりに太陽の陽を浴びた煉瓦橋台は、夕焼けの中でその赤色をより濃く見せ、ここに列車が走っていた遠い昔を静かに物語る。

秋は日暮れが早い、とは言い訳しても、車に残る家族に冷たい目で迎えられたのは、言うまでもなく・・・(汗)

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コメント

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    先日、八幡での研修後に徒歩で帰宅途中、小倉側の
    橋台を見かけてスマホで撮ったのですが、大蔵側はコ
    ンクリート護岸であり、その奥に眠っていたのですね。
    小倉鉄道橋台は、民有地でもあり、あっさりとこわされて
    しまいましたが、ここはなんとか保存できたら良いので
    すが。

    by べーやん €2013-10-14 22:00

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    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    そうなんですよ、これを見た瞬間小倉鉄道の橋台の運命を思い出しました。
    2月に北九州市が発行した『DOBOKU』という本には、”大部分が撤去される橋台の一部は案内板とともに現地に展示される予定です”との事。
    ちゃんとした調査と、保存を期待したいですね。

    by Taka €2013-10-14 22:29

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    あれ?DOBOKUに載ってました?
    買ったのに、中身をよく見てないのがバレるなぁ(笑)

    by べーやん €2013-10-24 21:27

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    いやいや、僕も「そういえば・・・」で読み返したくらいですから(笑)
    後日見たら煉瓦の塊はその場から無くなっていました。
    動向が気になりますよね。

    by Taka €2013-10-25 12:06

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「0哩 ゼロマイル〜北九州の近代化遺産〜」が「Kitakyu Heritage キタキューヘリテージ」として新たに出発しました。北九州のディープな魅力を再発見!

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北九州市在住。ベスパとハーレー、両極端のバイク乗り。北九州を愛し、北九州の魅力の再発見に余念が無い。人と人、歴史の点と点、結びつければ歴史が紐解かれる。