2018/11/09
北九州市戸畑区一枝(いちえだ)
夜宮公園の青々とした森の一角に、アール・ヌーヴォー様式の洋館が建っている。
現在は「西日本工業倶楽部」として結婚式場などにも使われているが、普段は一般公開しておらず、春と秋の年2回希望者に特別公開される。
【旧松本家住宅(きゅうまつもとけじゅうたく)】だ。
1912年(明治45年)竣工の木造2階建ての美しい洋館は、東京駅や旧百三十銀行八幡支店などを設計した辰野金吾。
若竹色の木部と白壁のコントラストが見る者を魅了する。
実業家である松本健次郎(1870年”明治3年”~1963年”昭和38年”)の住居兼迎賓館として建てられた。
筑豊炭田の炭鉱事業や、紡績、窯業、製鋼、専門学校、安川電機製作所など多角的経営を行っていた。
父は安川敬一郎で、松本健次郎と共に地方財閥の一時代を築いたと言う。
姓が違うのは健次郎が伯父の松本潜(まつもとひそむ)の養子に入った為だ。
そのお宅へご訪問。
1階から。
エントランスの窓格子にも意匠が。
全裸の男性二人が関節技を決め込むオブジェ。大理石。
大広間ではピアノとチェロによるミニコンサートが開かれていた。
大広間の暖炉。美しい大理石のマントルピースが目を引く。
暖炉の上に飾られた1797年パリ製の置き時計は健次郎のお気に入り。
動いてはいなかったが、ハンマーで鋳造してる様子が再現されるらしい。
貴賓室は円弧を描く。
どの部屋にも暖炉が備え付けられているよ。
暖炉の耐火煉瓦には”TOBATA”の文字が。
暖炉の横の箱。なんやろか?と思ってたら、マダムが「石炭入れる箱よね~」とおっしゃっていた。
開けてみたら石炭じゃなく、薪が入ってたよ。
食堂。つる草の様な装飾が美しい。
長テーブルで食事・・・マンガで見た事あるぞ!(笑)
松本健次郎、KMのイニシャルの入った食器も展示してあった。
<
書斎
円弧の装飾が凝っている。
赤絨毯の階段を上ると、ぶどうの樹とつばめが描かれたステンドグラスに目を奪われる。
2階は概ね赤絨毯が敷かれている。
家具は全てこの館の為にデザインされた物だ。
和洋折衷の和室。
書院造り。
違和感無く暖炉もあるよ。
窓からは整った庭園が見えるよ。
一階に降りて、ベランダ。
何処を撮っても絵になるなぁ。
南向きの窓からはきれいに整った庭園が広がる。
屋根の櫛状の出窓も面白い。
GoogleMapの航空写真で見ると面白いよ。
磨き上げられたフローリングの床は、部屋によって全てパターンが異なっていた。
細部に渡り装飾が施されていて、いつまで見ていても発見があり飽きなかった。
春と秋の年2回の公開だが、機会あればぜひ実際に見てみてほしい。
華やかだった当時を偲んでみませんか?