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移り変わる時代を思う【上砂津橋水道橋】

time 2013/01/14

移り変わる時代を思う【上砂津橋水道橋】

我らがチャチャタウンの赤い観覧車のお膝元には、もう一つ忘れちゃならない橋がある。
前回紹介した寿橋からチャチャタウン側(下流)へひとつ下ると「上砂津橋(かみすなつばし)」がある。

観覧車からだよ。

その傍らに川を渡る水色のパイプが今回紹介する
【上砂津橋水道橋(かみすなつばしすいどうきょう)】だ。

その水道橋の一番の特徴はパイプ上部に装飾された26個にも及ぶ”旧小倉市の市章”だ。

小倉の「小」の文字を模した市章は、廃藩置県ののち城下町が合併し小倉町となり、その後1900年(明治33年)に市制施行とし市となった小倉市のシンボルだ。
1963年(昭和38年)に北九州市として発足するまで(恐らく)市民に愛されたこの市章。
極めて現存数は少ないが、古いマンホールなどにも見つける事が出来る。
一番有名どころとしては、小倉駅南口のペデストリアンデッキ上にある「小倉祇園太鼓像」
北九州市発足以前の1959年(昭和34年)に建立されたそうだが、その太鼓台にも施されているぞ。


さて橋に戻るとして、よくよく観察するとこの橋は1910年(明治43年)に架けられた様だ。

左側に小倉市の市章もあるね。
しかしながら逆側には”1952″の刻印がある。

これはどうやら、水道管自体は1952年(昭和27年)に一度架け替えられている様だ。
この小倉市章の装飾もこの時のものだろう。
特徴はこの心躍るポップなデザインだけではない。
改めて橋台と橋脚を見ていただきたい。

重厚な石造りがその趣をなおさらに深い物としている。
特に川中の切り石にて組まれた橋脚はシンプルながら当時の石工がドヤ顔してるのが目に浮かぶ様な美しさを持っているぞ。
舟の様なカタチは、上流からのゴミが溜まらないようになっているんだな。
ちなみに、現在の市章だとどうなる?

こうなる。
物理の法則は無視だ!
両端にはどなたかによる花が植えられ、歴史は知らなくとも今も愛される水道橋。
ユーモアすら感じさせる意匠もありつつ、その重厚で落ち着いた佇まいは、当時としては水道橋がどれだけ重要であったかを感じさせる重厚な遺産である。

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Taka

Taka

1981年生まれ 北九州市門司区在住 愛車はVolkswagen The Beetle / Vespa LXV125 / Moto guzzi V7(850)  かつてはカフェ勤務経験ありのコーヒー好き。調理師免許所有。街歩き 人間観察 ひとり旅 基本陰キャのコミュ障。悩みは飼い犬(ミニチュアピンシャー)が懐かない事。 人と人、歴史の点と点、結びつければ歴史が紐解かれる。