2024/07/01
みなさんおなじみ門司港駅
現在の駅舎は1914年(大正3年)に建造され、その左右対称で美しい姿は国の重要文化財に指定されています。
いくら重要文化財とは言え、さすがに100年も経てば老朽化が著しく、2012年9月末から約5年半をかけて改修工事に入ります。
工事中その姿は見えなくなってしまうので、もうそろそろ現在の駅舎は見納めとなってしまいます。
その歴史ある門司港駅の普段は入れない場所を現役の駅長に案内してもらえるツアーの企画がありました。
【門司港駅バックステージツアー】
抽選で30名程度のツアーが数回開催されたのでTakaも応募しました。
噂によるとアッチャンの卒業公演以上の倍率があったとかなかったとか…。
いや、ないな。
抽選に当選したので、去る2012年9月8日、行ってきました。
そのレポートを。
当日はあいにくの雨。
雨男全開で参加受付をする。
白い制服を召された門司港駅58代駅長である香川駅長の登場。
雨のため、駅前広場での解説もそこそこに駅舎→ホームへ。
駅に行けば誰でも見られる、「関門連絡船通路跡」や「0哩標」等の説明を受ける。
ここで駅長ならではの話を聞く。
駅舎エントランスにある円柱。
真鍮製の美しく輝く土台のお話。
太平洋戦争の金属回収が押し進められるなか、当時の駅長はこの真鍮の部分を黒く塗るように部下に命令したそうだ。
この美しい柱を取り壊されてしまうものかと、苦肉の策。
幸い、黒く塗られたそれは金属とはバレず、回収を免れたという。
そんな事も忘れ去られた数十年経ったある日、塗装がはげかけているぞと当時の駅長が磨くように部下に命令。
磨く程美しい真鍮の姿があらわになったそうだ。
お次は「帰り水」
蒸気機関車時代には長旅の喉の乾きを癒し、すすでよごれた顔を洗った場所だ。
戦時中の金属回収は免れたものの、昭和50年代くらいになると、古くみずぼらしいと解体の憂き目に遭いそうになる。
しかし当時の駅長はこの歴史あるものを残したいという気持ちから門司中の水道屋を巡り、当時付いていた味気ない蛇口のノブをレトロな物に交換。
『これならば』と解体されずに済んだという。
駅舎2階に上り現在は大ホールとして使われていた「旧みかど食堂」
洋食を出していた食堂らしいが、シャンデリアがあったり、フィンガーボウルの水をわけも解らぬまま飲んじゃったなんていうありがちなエピソードも残っている本格洋食堂だ。
一階からの階段には赤絨毯が張られている。
食堂ならば調理室もある。
ここは絶対に普段は入れない場所だ。
老朽化もあって、使われなくなってからは手つかずの状態。
窓も照明も無く真っ暗で何も見えなかったが、カメラのフラッシュを使って手探りで撮影。
駅長曰く、当時のソースの瓶なんかが転がっているようだ。
1階に戻り、駅事務所の出入り口に掲げられた「誇りの鏡」
これは素敵なエピソードなのでまた改めて紹介しようと思います。
駅長室には東洋陶器(現TOTO)が極めて初期に作ったと言われている洗面台も遺る。
無理な姿勢で撮ったのでぶれてるけど、初期のロゴが誇らしげ。
TOTOからは自社の資料にしたいから返して!と言われ続けているらしいが、歴代駅長は絶対やだぴょーんと断ってるそうな。
2時間程のツアーでしたが、通常は入れない場所に入れたり、聞けないエピソードが聞けてとても興味深かったです。
あまりのメジャースポットですが、改めてその歴史を思うと、やはり愛おしさは深まるばかりです。
また工事中にも驚くべき発見も数多く出てくると思いますので、楽しみにしてましょう。
歴代の駅長の門司港駅への愛情が感じられる門司港駅バックステージツアーのレポートでした。
コメント
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開始お待ちしておりました♪
門司港駅はもうほとんど見たからいいやと思っていたのですが、そんなエピソードを聞くと、バックステージツアーに行けなかったことが段々後悔に・・
続きのエピソード待っております!
by blue field 2012-09-17 01:11
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blue fieldさん
コメントありがとうございます。
僕も個人的にも思い入れがあり、何度も訪れているのですが、まだまだ知らない事も多そうです。
工事期間中の新発見も楽しみですね〜
by Taka 2012-09-17 08:57
[…] 今回は2012年(平成24年)、大規模改修の直前に行われた門司港駅バックステージツアーを振り返り、改修前の写真とともに紹介しよう。 […]
by 写真で振り返る改修前の【門司港駅】 | キタキューヘリテージ Kitakyu Heritage 2018-10-17 00:24