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森と静寂の迎賓館【旧松本家住宅】 (洋館編)

time 2013/04/08

森と静寂の迎賓館【旧松本家住宅】 (洋館編)

北九州市戸畑区一枝(いちえだ)
夜宮公園の青々とした森の一角に、アール・ヌーヴォー様式の洋館が建っている。

現在は「西日本工業倶楽部」として結婚式場などにも使われているが、普段は一般公開しておらず、春と秋の年2回希望者に特別公開される。

【旧松本家住宅(きゅうまつもとけじゅうたく)】だ。

1912年(明治45年)竣工の木造2階建ての美しい洋館は、東京駅や旧百三十銀行八幡支店などを設計した辰野金吾。
若竹色の木部と白壁のコントラストが見る者を魅了する。
実業家である松本健次郎(1870年”明治3年”~1963年”昭和38年”)の住居兼迎賓館として建てられた。
筑豊炭田の炭鉱事業や、紡績、窯業、製鋼、専門学校、安川電機製作所など多角的経営を行っていた。
父は安川敬一郎で、松本健次郎と共に地方財閥の一時代を築いたと言う。
姓が違うのは健次郎が伯父の松本潜(まつもとひそむ)の養子に入った為だ。
そのお宅へご訪問。
1階から。


エントランスの窓格子にも意匠が。


全裸の男性二人が関節技を決め込むオブジェ。大理石。


大広間ではピアノとチェロによるミニコンサートが開かれていた。


大広間の暖炉。美しい大理石のマントルピースが目を引く。


暖炉の上に飾られた1797年パリ製の置き時計は健次郎のお気に入り。
動いてはいなかったが、ハンマーで鋳造してる様子が再現されるらしい。


貴賓室は円弧を描く。


どの部屋にも暖炉が備え付けられているよ。


暖炉の耐火煉瓦には”TOBATA”の文字が。


暖炉の横の箱。なんやろか?と思ってたら、マダムが「石炭入れる箱よね~」とおっしゃっていた。


開けてみたら石炭じゃなく、薪が入ってたよ。


食堂。つる草の様な装飾が美しい。
長テーブルで食事・・・マンガで見た事あるぞ!(笑)




松本健次郎、KMのイニシャルの入った食器も展示してあった。

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書斎
円弧の装飾が凝っている。


赤絨毯の階段を上ると、ぶどうの樹とつばめが描かれたステンドグラスに目を奪われる。



2階は概ね赤絨毯が敷かれている。



家具は全てこの館の為にデザインされた物だ。


和洋折衷の和室。


書院造り。


違和感無く暖炉もあるよ。


窓からは整った庭園が見えるよ。


一階に降りて、ベランダ。


何処を撮っても絵になるなぁ。


南向きの窓からはきれいに整った庭園が広がる。


屋根の櫛状の出窓も面白い。
GoogleMapの航空写真で見ると面白いよ。


磨き上げられたフローリングの床は、部屋によって全てパターンが異なっていた。

細部に渡り装飾が施されていて、いつまで見ていても発見があり飽きなかった。

春と秋の年2回の公開だが、機会あればぜひ実際に見てみてほしい。
華やかだった当時を偲んでみませんか?


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お次ぎは渡り廊下で繋がった、日本館のご紹介。

コメント

  • […] 【旧安川邸(きゅうやすかわてい)】だ。その主人は安川敬一郎(やすかわけいいちろう)[1849年(嘉永2)~1934年(昭和9年)]明治から大正期に数多くの偉業を残した。この旧安川邸に隣接するのは【旧松本家住宅】、安川敬一郎の息子にあたる松本健次郎の住居だ。森と静寂の迎賓館【旧松本家住宅】 (洋館編) 森と静寂の迎賓館【旧松本家住宅】 (日本館編)北九州市が整備し、2022年(令和4年)に一般公開となった。この地に住居として建設されたのは1912年(明治45年)、その年の7月30日から大正に年号が変わっているので、明治最後の年となる。その邸宅を巡りながら安川敬一郎の偉業を辿ろう。 […]

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Taka

Taka

1981年生まれ 北九州市門司区在住 愛車はVolkswagen The Beetle / Vespa LXV125 / Moto guzzi V7(850)  かつてはカフェ勤務経験ありのコーヒー好き。調理師免許所有。街歩き 人間観察 ひとり旅 基本陰キャのコミュ障。悩みは飼い犬(ミニチュアピンシャー)が懐かない事。 人と人、歴史の点と点、結びつければ歴史が紐解かれる。


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